はじめに
ご家族が亡くなられ、ゆうちょ銀行の相続手続きを進めようとしているものの、「戸籍集め」「書類の記入」といった作業に追われ、「結局、最初から最後までどんな順番で進むの?」と、全体像が見えずに不安になっていませんか?
この記事では、相続の専門家が、ゆうちょ銀行の相続手続きについて、最初のステップから最終ゴールである「払戻し完了」までの一連の流れを、6つの具体的なステップに分けて解説します。
【ステップ別】ゆうちょ銀行の相続手続きの流れ
それでは、具体的な流れをステップごとに見ていきましょう。

Step 1:窓口への申し出と「相続確認票」の受領
《期間の目安:即日完了》
まず、お近くの郵便局やゆうちょ銀行窓口へ行き、口座の名義人が亡くなったことを伝えます(お電話でもOKです)。この申し出により、故人の口座は不正な引き出しなどを防ぐために凍結されます。
窓口では、今後の手続きの流れについての説明を受け、手続きの第一歩となる「相続確認票」などの書類を受け取ります。
Step 2:【遺産分割の前に】残高証明書の発行依頼
《期間の目安:依頼から発行まで約2週間》
故人が亡くなった日(相続開始日)時点の正確な預金残高を証明する「残高証明書」を速やかに発行してもらうことで、後の遺産分割協議や遺言の執行をスムーズに進めることができます。
手続き: 窓口で受け取った「相続預金等照会書」に記入し、戸籍謄本(死亡の事実と、請求者が相続人であることがわかるもの)などと共に提出します。手数料は1通あたり1,100円です。
Step 3:戸籍謄本など、必要書類の収集
《期間の目安:1〜2ヶ月》
Step2と並行して、相続手続きで最も時間のかかる必要書類の収集を進めます。
必要なのは、主に以下の書類です。
● 亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
● 相続人全員の現在の戸籍謄本
● 相続人全員の印鑑登録証明書 など
(※必要書類の詳細は、過去の記事「ゆうちょ銀行の相続手続き|必要書類と戸籍謄本の集め方」で詳しく解説していますので、そちらもご覧ください。)
Step 4:「相続手続請求書」の記入と遺産分割協議
《期間の目安:1週間〜(遺産分割協議の進捗によっては)1ヶ月以上》
Step1で提出した「相続確認票」などに基づき、約2週間ほどでゆうちょ銀行の事務センターから、相続内容に応じた「相続手続請求書」が送られてきます。
この書類に相続人全員の署名・実印が必要になるため、この段階で相続人全員で遺産の分け方を話し合う「遺産分割協議」を行い、合意内容をまとめた「遺産分割協議書」を作成いきます。
Step 5:全ての書類を揃えて窓口へ提出
《期間の目安:即日完了》
収集・作成した全ての書類を、ゆうちょ銀行の窓口へ提出します。
【提出書類チェックリスト】
☑ 完成した「相続手続請求書」(全員の署名・実印済み)
☑ 収集した戸籍謄本一式
☑ 相続人全員の印鑑登録証明書
☑ 遺産分割協議書(作成した場合)
☑ 手続きをする代表者の本人確認書類 など
書類に不備がないか、最終確認してから提出しましょう。
Step 6:払戻金の入金・手続き完了
《期間の目安:書類提出から約2週間〜1ヶ月》
Step5で提出した書類に不備がなければ、約2週間から1ヶ月ほどで、相続手続請求書で指定した代表者の口座に払戻金が振り込まれます。
入金が確認できたら、これにてゆうちょ銀行の相続手続きはすべて完了です。
全体でかかる期間の目安は?
各ステップの期間を合計すると、相続手続き全体にかかる期間の目安が見えてきます。
相続人の数や書類の収集状況にもよりますが、スムーズに進んだ場合でも約2〜3ヶ月、相続人が多かったりして遺産分割協議が難航するケースでは、半年以上かかることも珍しくありません。
まとめ
最後に、ゆうちょ銀行の相続手続きの流れをもう一度おさらいします。
- ゆうちょ銀行・郵便局窓口での申し出
- 残高証明書の発行
- 必要書類の収集
- 請求書の記入と遺産分割協議
- 全書類の提出
- 払戻し完了
この全体像を頭に入れておけば、現状がどの段階にあって、次に何をすべきかが明確になり、不安を軽減することができます。一つ一つのステップは大変ですが、着実に手続きを進めていきましょう。
また、手続きが複雑で難しいと感じた際は、いつでも私たち専門家にご相談ください。
執筆者 池上行政書士事務所 池上 功(池上行政書士事務所のホームページ)