はじめに
戸籍謄本の収集などを終え、ゆうちょ銀行に「相続確認票」を提出すると、後日、貯金事務センターから「相続手続請求書」が送られてきます。
この記事では、相続手続きの専門家が、実際の記入項目に沿って、具体的な書き方と注意点を分かりやすく解説します。この記事を見ながら進めれば、誰でもミスなく、スムーズに書類を完成させることができます。
【記入例で解説】相続手続請求書の項目別・書き方ガイド
それでは、送られてきた請求書を手元に準備して、項目ごとに見ていきましょう。
※様式は相続内容によって若干異なる場合がありますが、基本的な記載事項は同じです。
① 被相続人(亡くなられた方)に関する情報
まず、亡くなられた方の情報を記入します。
【記入例】
・おなまえ:鈴木 一郎
・ご住所 :東京都千代田区大手町X-X-X
・貯金等の記号番号:10120-XXXXXXX1
通帳やキャッシュカード、事前にゆうちょ銀行から送られてくる「相続貯金等照会結果連絡票」などを見ながら、正確に転記しましょう。特に貯金の記号・番号は間違えやすいので、慎重に確認してください。
② 相続人代表者(お手続をされる方)に関する情報
次に、今回の相続手続きの代表者となる方(払戻金を受け取る方)の情報を記入します。
【記入例】
・おなまえ:鈴木 太郎
・被相続人との続柄:長男
・ご住所 :神奈川県横浜市〇〇区…
・電話番号:090-XXXX-XXXX
連絡が取れる電話番号を必ず記入しておきましょう。書類に不備があった場合など、ゆうちょ銀行から連絡が来ることがあります。
③【最重要】相続人全員の署名・押印
ここが最も重要で、間違いが多いポイントです。
相続人となる方全員が、必ずご本人の意思で自署(サイン)し、実印を押印してください。
【記入例】
(住所)神奈川県横浜市… (氏名)鈴木 太郎 (実印)
(住所)東京都世田谷区… (氏名)佐藤 花子 (実印)
【!】留意点
代筆はNGです。 必ず相続人ご本人が署名してください。
押印するのは「印鑑登録証明書」と同じ実印です。認印や銀行印ではないので注意しましょう。
相続人が遠方に住んでいる場合は、郵送で書類を回覧して、各自に署名・押印してもらう必要があります。時間に余裕をもって進めましょう。
④ 払戻金の受取方法
相続する貯金を、どの口座で受け取るかを指定します。通常は、相続人代表者の口座を指定します。
【記入例】
金融機関名:ゆうちょ銀行
記号・番号:10130-XXXXXXX1
受取人名義:スズキ タロウ
または
金融機関名:〇〇銀行 △△支店
預金種別 :普通
口座番号 :1234567
受取人名義:スズキ タロウ
【!】留意点
ゆうちょ銀行以外の金融機関口座を指定する場合、金融機関名、支店名、預金種別、口座番号、口座名義(カナ)を、通帳を見ながら一字一句間違えずに記入してください。特に口座名義のフリガナは間違いやすいポイントです。
指定できるのは、原則として相続人代表者ご本人名義の口座のみです。
提出前の3つの最終チェックポイント
すべて記入し終わったら、あらためて以下の点を確認しましょう。この一手間が、手続きをスムーズに進めるカギです。
☑ チェック1:相続人全員の「自署」と「実印」はありますか?
~人数分の署名・押印が揃っているか、改めて確認しましょう。
☑ チェック2:印鑑証明書の印影と、押された印影は同じですか?
~念のため、添付する印鑑登録証明書の印影と見比べてみましょう。
☑ チェック3:払戻し先の口座情報に間違いはありませんか?
~特に金融機関コードや支店コード、口座番号に読み間違いや書き間違いがないか、指差し確認するのがおすすめです。
まとめ
今回は、ゆうちょ銀行の「相続手続請求書」の書き方について解説しました。
最重要ポイントは、相続人全員の自署と実印
- 払戻し先の口座情報は、通帳を見ながら正確に記入
- 提出前には、必ず3つのチェックポイントで最終確認を
この請求書を無事に提出できれば、相続手続きのゴールは目前です。通常、書類に不備がなければ、提出後約1~2週間で指定の口座に払戻金が振り込まれます。
相続手続きでのお困りごとは、お気軽に当事務所にご相談ください。
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