遺言書の検認とは、遺言書保管者や発見者の申し立てにより、遺言書の存在について家庭裁判所が確認する手続きのことです。以下ではその概要について説明します。
概要
・遺言書の保管者または、遺言書を発見した相続人は、遺言者が亡くなったことを知ったのち、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して、その検認の申し立てをする必要があります。
・家庭裁判所は相続人に対し、遺言の存在やその内容を通知するとともに遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止します。
※検認手続きは、あくまで遺言の存在やその外形を確認するものであって、遺言の法的な有効・無効を判断する手続きではありません。
手続きの流れ
検認の申し立てがあると、家庭裁判所は、相続人に対し検認期日の通知がなされます。申立人以外の相続人が出席するかどうかは各人の任意であり、相続人全員がそろわなくても手続きは行われます。
相続人が代理人を立てている場合は代理人が相続人の代わりに出席します。
なお、申し立てから検認期日(検認を行う日)の通知まで、検認期日の通知から検認期日までは、いずれも2~3週間かかるのが一般的です。遺言書発見から必要書類を取り寄せるなどして検認を最終的に完了させるまで、2~3か月は見ておいたほうがよいでしょう。
検認期日には申立人から遺言書を提出し、出席した相続人等の立ち合いのもと、裁判官は、封がされた遺言書については開封の上、遺言書を検認します。
※封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人等の立ち合いのもと開封する必要があり、勝手に開封することは禁じられていることに注意が必要です
検認終業後、遺言の執行を行う際には、遺言書に検認済証明書が付いていることが必要となるため、検認済証明書の申請を行います。
自筆証書遺言保管制度について
・相続人、受遺者等、遺言執行者等(関係相続人等)は、法務局に遺言書情報証明書の交付を請求することで、保管されている遺言書の内容を確認することができます。
・遺言書情報証明書には、遺言書のほか、遺言書を保管する際に併せて提出した、相続財産目録、預貯金通帳や不動産の登記事項証明書などの権利関係の確認書類の画像データが含まれています。
遺言書情報証明書は、遺言書の原本と同じ効力があり、原本の代わりとして相続手続きに使用することができます。
<証明書の記載内容>
遺言書が保管されている場合は、遺言書の作成年月日、遺言書保管所の名称、保管番号などが記載された証明書が交付されます。
遺言書が保管されていない場合、または遺言書が保管されていても、請求者が関係相続人等に当たらない場合は、「遺言書が保管されていない」旨が記載された証明書が交付されます。
※後者の場合は他のものを関係相続人とする遺言書が保管されている可能性があります。
遺言者が、追加の遺言書の保管申請を行い、2通以上の遺言書が保管されている場合は、例えば、最初の申請では相続人に財産を相続させる内容の遺言書を提出していて、追加の申請では受遺者に財産を遺贈する内容の遺言書を提出している場合があります。
この場合、受遺者に対して交付された証明書で、遺贈に関する遺言書の存在が判明した場合でも、他の遺言書の存在有無を確認する必要があります。
遺言執行者からの請求についても同様で、遺言執行者の指定をしていない遺言書がないか確認が必要です。
遺言執行については専門家に依頼をするほうが、過大な負担を負うことなく、確実に執行手続きを終えることができます。 遺恨執行に関してなにかありましたらお気軽に当事務所までご相談ください。
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