相続関係説明図は、相続人と被相続人の関係を明らかにする情報を記録した書類です。
ここではその内容と法定相続情報一覧図との違いなどについて説明していきます。
1.相続関係説明図とは
特に定められた書式があるわけではありませんが、以下の内容を記載するのが一般的です。
- 被相続人の本籍(最後の本籍)
- 被相続人の住所(最後の住所)
- 被相続人の登記簿上の住所
- 被相続人の氏名、生年月日・死亡年月日
- 相続人の氏名、生年月日・被相続人との続柄(関係)
- 「相続を証する書面は還付した」などの文言と押印欄
冒頭には、表題および作成者の氏名、表題の下には①~③の情報を箇条書きで記載します。
相続登記が必要となる場合に、被相続人と登記簿名義人が同一であることを明らかにするため、③被相続人の登記簿上の住所を記載します。
④被相続人の情報および⑤相続人の情報は、人ごとにまとめて記載し、婚姻関係にあるものは二重線で、親子関係にあるものは一本線でつなぎ、家系図のような樹形図形式で記載します。
相続登記の際に、登記官が戸籍の原本を還付することを確認するため、説明図の末尾に⑥「相続を証する書面は還付した」などの文言と押印欄を記載します。
相続人が長男のみの場合の相続関係説明図イメージ

<記載上の注意点>
相続関係説明図には、すべての相続関係を明らかにするため、法定相続人である親族を全員記載します。また、受遺者・特別寄与者・法定相続人から相続分の譲渡を受けたものなどの、法定相続人ではないものを記載する場合もあります。
例として、被相続人が再婚しており、前妻との間に法定相続人である子がいる場合は、被相続人と子との関係を明らかにするために身分を記載します。
被相続人には「被相続人」、相続人には相続人には「相続人」または「相続」、代襲相続が発生している場合は「代襲相続人」または「代襲相続」と記載します。
相続人とならないものがいる場合は、相続時にすでに亡くなっているのであれば「死亡」および死亡年月日を、相続放棄するのであれば「相続放棄」または「放棄」と記載します。
2.法定相続情報一覧図とは
法定相続情報証明制度とは、相続人が相続関係を明らかにする一覧図(法定相続情報一覧図)および戸籍謄本等を登記所に提出すると、一覧図が法律で定められた相続関係に合致していることを登記官が確認したうえで一覧図に認証文を付与して交付する制度です。
認証文の付された一覧図は、相続登記などの手続きにおいて、戸籍謄本等の代わりに提出することができます。法定相続情報証明制度を利用すると、相続手続きで提出しなければならない書類を減らすことができ、また、複数の手続き先に同時に書類を提出できます。手続きによっては、一覧図に記載された法定相続情報番号により書類の提出を省略できます。
そのため、①相続関係が複雑で相続人の数が膨大になる事案や、②相続手続きを行う金融機関が多数ある事案、③相続財産のなかに不動産が複数あり、それぞれ異なる法務局の管轄地域に存在しているなど、複数の登記所で手続きを行う必要がある事案で制度を活用することがおすすめです。
なお、法務省のサイトには、主な法定相続一覧図の様式や記載例などが掲載されています。
3.相続関係説明図と法定相続情報一覧図の違い
- 法務省の認証の有無
⇒法定相続情報一覧図は、法務局の登記官が「誰が相続の権利を有するのか」について証明した文書です。
- 記載内容のルールの厳格性
⇒法定相続情報一覧図は、被相続人の氏名や死亡年月日、相続人の出生年月日、申出人など、記載すべき事項が厳格に定められています。一方、相続関係説明図は手続きを円滑に行っていくために、相続人の情報を視覚的にわかりやすく整理することを目的としたものであるため、記載項目に厳格なルールはありません。
<相続関係説明図のメリット>
・相続登記で戸籍謄本類の原本還付が可能
・記載の自由度が高い
<法定相続情報一覧図のメリット>
・公的な文書としての証明力がある
・1枚あれば戸籍謄本類の原本提出が不要
相続の手続きに関してご不明な点などがあれば、まずは当事務所にお気軽にご相談ください。
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