遺産分割の話し合いが円満に進まなかったときに、最終的に遺産分割審判に至るケースがあります。ここではその概要について説明します。
1.遺産分割審判とは
遺産分割は遺産分割協議を通じて手続きが行われますが、当事者間で決着がつかない場合は遺産分割調停に持ち込まれて話し合いが行われます。それでも解決しない場合に最終的に遺産分割審判となりますが、これは話し合いではなく、裁判所が遺産分割の方法を決定するものです。
審判結果は当然ながら当事者の希望に沿ったものとはならず、場合によっては双方にとって想定外で不満の残る結果となる可能性すらあります。
そこに至るまでに要する時間や弁護士費用等のコストもさることながら、家族間のぬぐいがたい心情的なしこりまで考えると、そうした事態に至ることを回避すべく、自らの財産の相続に関して生前にしっかりと準備をしておくことが肝要といえます。
2.遺産分割審判の特徴
<強制的な解決手段>
遺産分割審判に際しては、各当事者がそれぞれの主張を書面にして裁判所に提出します。裁判所はそれに基づいて、妥当と考えた遺産分割の方法を審判で指定します。
<調停委員の関与の有無>
遺産分割調停では、調停委員が介在して当事者間の主張を取り持ちながら話し合い、最善の解決方法を模索します。
これに対して、審判では調停委員の関与はなく、裁判官による審判期日のみです。
<(調停手続き不成立後>審判期日へ>
・調停は直接相手方と対面することはありませんが、審判では相手方と同時出席となるため、相手と顔を合わせることになります。
・期日を繰り返しても合意に至らない場合、最終的には裁判官によって審判が下ります。審判に不服があるときは、2週間以内に即時抗告をしますが、それがなされなければ審判が確定します。
・審判が始まってから確定するまでの期間はおおよそ3~6か月程度といったところです。ただし、それまでに遺産分割協議、調停という過程において相応の時間を要しているはずなので、それらの期間を合わせると遺産分割審判に至った相続手続きは相当に長期化するということになります。
こうした事態を招かないようにするためにも、遺言書は有効な手立てのひとつとなります。
遺言・相続について検討をはじめたい場合には、まずは当事務所までお気軽にご相談ください。
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